こんにちは、いよいよ本格的に雪が降りだしそうですね(゜o゜)
今日は当院で行っている抜歯と同時のインプラント治療(抜歯即時埋入)についてご説明します。
従来のインプラント治療は、むし歯や歯周病で保存困難となった歯を抜歯後、3~6か月待ち、歯肉が治ってから改めてインプラントの埋入手術を行う方法が一般的でした。
しかし、近年では手術による侵襲(ダメージ)の軽減・治療期間の短縮を図るための方法が模索されています。
そのうちの1つが抜歯と同時に埋入手術を行う、抜歯即時埋入です。
ケースをご紹介しながら解説します。
患者さんは20代の方で、他院で抜歯と診断された歯の診察を希望されて受診しました。
診査の結果、根尖性歯周炎(根の先に膿がたまる状態)もしくは歯根破折が疑われましたので、まずは根管治療(根の消毒)による歯の保存を試みることとしました。
3回ほど根管治療を行いましたが、腫れは改善せず、また治療中に拡大視野下でクラック(歯根のヒビ)を認めたので、残念ながら歯の保存は困難と判断しました。
歯を失った場合にはいくつかの選択肢があり、その各々にメリットデメリットがあります。
①ブリッジ
②入れ歯
③インプラント
④親知らずなどの移植
⑤放置
だいたいの場合、この中から患者さんの年齢や希望、経済的状況、治療期間などを考慮して選択することになります。
患者さんがまだ非常に若いことを考えると、両隣の健全な歯を削るブリッジや、取り外しできる部分入れ歯はやや受け入れにくく、両隣の歯に負担をかけずに噛む機能を回復するため、インプラント治療を希望されました。
●抜歯即時埋入ができるかの検討
CTとシミュレーションソフトを用いて、抜歯と同時のインプラント埋入が可能か検討しました。
感染による歯肉や骨の炎症が強い場合や、周囲の骨が大きく溶けてしまっている場合は、十分なインプラントの初期固定が得られないため、適応になりません。
今回の場合、歯肉にろう孔(膿の出口)はあるものの炎症は比較的落ち着いており、周囲にも十分な骨があったため、抜歯と同時のインプラント埋入を行う予定としました。
※以下、術中の写真がありますので苦手な方はご注意ください。
周囲の骨をできるだけ温存しながら抜歯を行い、根の先にある感染巣を徹底的に取り除きます。
シミュレーションした場所に、埋入窩をドリルで形成していきます。
平らな骨に形成するよりもドリルがずれやすいため、慎重な器具操作が求められます(・_・;)
インプラントを埋入し、周囲の隙間を保護する材料を入れて手術を終えました。
術中の写真からも分かりますが、抜歯即時埋入の場合は歯肉の切開・剥離(開くこと)が必要ないため、術後の痛み・腫れも少ないことが多いです。
手術から2か月後に口腔内スキャナーで型取りを行い、上部構造をセットしました。
当院では、インプラントの型取りは患者さんの負担を少なくするため、基本的に粘土状の材料を使わずに口腔内スキャナーを使用しています。(口腔内スキャナーによる型取りはこちら)
現在は自分の歯のように機能しており、満足していただいていますが、この状態を長く保つためにメインテナンスでサポートしていきたいと思います。
●抜歯即時埋入のメリット
・抜歯と同時に行うことで、麻酔が必要な処置の回数が少ない
・歯肉の切開剥離を行わないため、腫れ・痛みが少ない
・治療期間を短縮できる
●抜歯即時埋入のデメリット
・適応となる条件が限られる
・より慎重な診断、手技が必要となる
▷治療費 385,000円
▷インプラント治療にかかった回数 およそ7回(治療期間4か月)
▷治療のリスク
インプラント周囲炎や、破折などのトラブルが生じうる
当院では、残念ながら抜歯となった際は、できる限りしっかり選択肢の説明を行い、納得していただいたうえで治療を受けられるように心がけております。
また、インプラント治療を行う際は、できるだけ患者さんの身体的負担が少なくなる治療に努めていますのでご相談ください。
ここまで読んでいただきありがとうございました(^^)
(奥州市水沢 ささき歯科医院 歯科医師 佐々木俊)
コメント