昨日は季節外れの雪が降り、驚きましたね(゜o゜)
今回はちょっと真面目な内容です。
むし歯の予防には、砂糖のコントロールとフッ素の正しい利用が何よりも大事であることは、何度かブログでも書いてきましたね。
ふだん診療室でも同じような説明をするのですが、先日患者さんから「フッ素は危険なものだと聞いたのですが‥」と質問される機会がありました。インターネットで検索すると、確かに様々な情報を目にしますし、不安になりますよね。
せっかくですので、当院での考えをこちらで解説しようと思います。
(フッ素単体ではなく、フッ化物と表記するのが正しいのですが、分かりやすさのためにフッ素としています)
●フッ素ってそもそも何?
フッ素と聞くと、特別な化学物質のようなイメージをもつ方もいると思います。
フッ素は、ほぼ全ての食品に含まれている、人体には欠かせない微量元素の1つです。
肉や魚、野菜、乳製品、食塩、お茶などに含まれています。入っていない食品を探すのが大変ですね(゜o゜)
●なぜむし歯予防にはフッ素が大事なの?
・歯の再石灰化を促す
・むし歯菌の酸(脱灰)に負けないように歯を丈夫にする
・むし歯菌が酸を作る働きを弱める
ことで、むし歯予防には大きな効果が認められています。
詳しくは、「歯みがきの後のうがいは1回?」
「本当にむし歯を防ぐためには?」の記事も読んでみてください(゜_゜>)
●フッ素は安全なの?
結論からいうと、正しい量・使い方をすれば安全が確認されているのが、フッ素です。
例えば、人間の体には「塩」が必要ですよね?
塩分を摂らずには人間は生きていけないのですが、かといって摂り過ぎれば体の具合を悪くしてしまいます。
薬はどうでしょうか?
薬は適量の使用によって病気を治すことができたり、つらい症状を和らげることができます。
しかし、必要以上の量を使い過ぎれば、副作用によって命が脅かされることもありますよね。
フッ素についても、同じように考えるといいのではないかと思います。
正しい使い方をすれば、確実にむし歯予防の効果を高めることができますし、誤った使い方をすれば悪い面も出てきてしまいます。
具体的には、歯が歯ぐきの中で作られている低年齢のときに、大量の摂取を続けていると、「歯牙フッ素症」といって、歯がフッ素を取り込みすぎて歯がチョークのように形成不全を起こしてしまうことがあります(非常にまれです)
また、多量摂取による中毒ですが、体重20kgのお子さんが、高濃度フッ素配合の歯みがきペーストを100g(ほぼ一本丸ごと)飲み込んだときに、中毒が起こりうる計算となります。
このようなことが起きる可能性は非常に低いと思いますが、万が一そのようなことが起きた場合、牛乳などのカルシウムが含まれた飲料を飲み、病院に相談してください。
(ちなみに日本では、フッ素入り歯みがき粉の使用やフッ素洗口に関わる中毒の報告はありません。)
残念ですが、わずかながら歯科医師の中にも「フッ素は危険」と根拠のあいまいな情報を発信してしまう方もいます。
専門家が発信するそれらしい情報を、一般の人が否定するのは非常に難しいですし、このようなデマを論理的に否定するのは、専門家であっても大変な労力を要します。
仮に「フッ素にむし歯予防の効果がほとんどなく、ただ危険なもの」であるなら、大多数の歯科医師や研究者がフッ素の使用を推奨するのは、理にかなわないですよね…
●まとめ
・フッ素はほぼ全ての食品に含まれており、毎日お口に入っています
・様々な実験結果や疫学的調査により、フッ素のむし歯予防の効果は確立されています
・どんなにいい薬でも、過剰な量を摂取すれば毒になります。
正しい知識をもって、むし歯予防にうまく使いましょう
・それでもフッ素を使うのは不安…という方はご相談ください、他のアプローチでむし歯を予防できないか一緒に考えましょう
今日は以上です、ここまで読んでいただきありがとうございました(^^)
(書いた人:奥州市水沢 ささき歯科医院 歯科医師 佐々木俊)
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